



















その由来は、今から140年前の慶応3年12月7日(1868年1月1日)に、神戸がわが国はじめての貿易港として開港の式があげられました。 神戸にやってきた外国人が、牛肉を食べ、その味の良さが大変評判となり、「神戸ビーフ」として重宝がられ、世界にその名と美味しさが知れ渡りました。 そして、外国人が日本に来る楽しみは、「風光明媚な土地を観ることと、神戸ビーフを食うことである。」といわれたそうです。 また、明治末期の農商務省の調査では「現今肉牛として名のあるもの」として「神戸ビーフ」を称えています。
世界的に知られた「神戸肉・神戸ビーフ」は、兵庫県で生産される、優れた「但馬牛」を素牛としてつくりだされた最高牛肉です。 但馬牛は、古くから兵庫県北部(但馬地方)で飼われていた牛で、長年にわたり純血を守りながら改良に改良を重ね、優れた資質を誇る肉用牛としてつくりだされた和牛です。
現在では、兵庫県内で生まれた但馬牛を、県内で肥育し、県内の食肉センターで処理されたものを「兵庫県産(但馬牛)」と呼んでいます。
「神戸肉・神戸ビーフ」には厳密な定義が定められており、但馬牛の食肉の中でも高い品質と美味しさをもつものだけが「神戸肉・神戸ビーフ」と認定されます。
【兵庫県産(但馬牛)の定義】
神戸ビーフ(神戸牛・神戸肉)の素牛となる兵庫県産の但馬牛は次の通りです。
(1) 兵庫県内を出生地とした但馬牛の血統を持つ黒毛和種
(2) 神戸肉流通推進協議会に登録された指定生産農家によって肥育された牛
(3) 兵庫県内の指定食肉センターで、と畜解体された牛
(4) と畜時月令が生後28ヶ月令以上から60ヶ月令以下の牛
(5) 社団法人日本食肉格付協会による格付で歩留等級が「A」「B」等級。なお、兵庫県産(但馬牛)を但馬牛・但馬ビーフ・TAJIMABEEFと呼ぶことができる。
【神戸ビーフ(神戸肉)の定義】
兵庫県産の但馬牛の中で、さらに下記の条件を満たものが神戸ビーフ(神戸牛・神戸肉)となります。
(1) 未経産のメス牛、去勢牛である
(2) 肉質等級が脂肪交雑のBMS値No.6以上のもの
(3) 歩留等級が社団法人日本食肉格付協会による格付で歩留等級が「A」「B」等級
(4) 枝肉重量がメスは230kg以上から470kg以下のもの、去勢牛は260kg以上から470kg以下のもの
以上の条件をクリアしたものが神戸ビーフ(神戸牛・神戸肉)として「菊の印」が押され、「神戸肉之証」が交付され流通します。
「神戸ビーフ」の味は、素の牛の資質によって決まります。
その点では、優れた資質を誇る「但馬牛」に勝るものはありません。 「但馬牛」は、筋繊維が細く、細やかな「サシ」が入りやすいのです。 「但馬牛」は、古くから兵庫県北部(但馬地方)で飼われていた牛で、長年にわたり他県産牛との交流を避け、交配をさせず、改良を重ね、つくり出された和牛です。 現在では兵庫県下各地で飼われています。
「神戸肉」は、選びぬいた素牛を、栄養のある飼料と、最新の心配りで育て上げ、つくりだされたものです。 「神戸肉」の肉質は筋繊維が細かくて柔らかく、肥育すると脂肪が筋肉に細かく入り込み、筋肉の鮮紅色と脂肪の白色が鮮やかに交雑する「サシ」ができます。 これが最高級の「霜降り肉」となります。 「霜降りの肉」は、熱を加えると「サシ」が溶けてその回りの筋肉をときほぐし、柔らかく、舌ざわりをよくします。 このとき、筋肉のもつ味と、脂肪の香りが微妙にとけあい特有のまろやかさをかもしだすのです。 そうした肉の特長を持つ「但馬牛」は、「神戸ビーフ」のみならず、近江、松阪などの多くの高級肉のルーツ(素牛)となっています。
「但馬牛」を素牛とする高級肉の中でも、「神戸ビーフ」は、約1200年も昔から兵庫県北部の但馬地方の山あいで、恵まれた自然環境に育まれながら、長い歳月をかけ、多くの人々の努力により改良を重ねられ育てられてきました。
選び抜かれた兵庫県産但馬牛を素牛として、兵庫県内の熟練した農家が、高度な肥育技術を駆使して安全で良質な飼料を使い、細心の心配りで育て上げ、つくりだされた最高の牛肉です。

【但馬牛(神戸ビーフ)の脂肪酸組成】
牛肉の風味は、モノ不飽和脂肪酸(オレイン酸など)が多いほど良い
兵庫県と中国地方の4県(A~D)で実施された産肉能力検定肥育牛315頭のロース肉の脂肪酸組成を分肉の脂肪酸組成を分析した結果、但馬牛(兵庫県産牛)は他県産に比べモノ不飽和脂肪酸割合が有意に多いことが分かりました。

【但馬牛(神戸ビーフ)のイノシン酸含量】
食肉のうま味には、昆布に多く含まれるグルタミン酸や鰹節に多く含まれるイノシン酸が影響する
黒毛和種肥育牛黒毛和種肥育牛5454頭のロース肉のイノシン酸含量を分析した結果、イノシン酸含 量は種雄牛(A~L)但馬牛(兵庫県産牛)は他府県牛に比べて、イノシン酸含量が高い傾向を示しました。
出典 : 兵庫県立農林水産技術総合センター 畜産技術センター 家畜部

2006年「月刊神戸っ子8月」の特集記事で紹介されました記事をご紹介いたします。
本物の神戸ビーフとは
その名を世界に轟かせ、数々の舌を唸らせてきたビーフの傑作、神戸ビーフ。 その魅力に迫るべく、生産、流通、消費の現場を訪れてみた。
そもそも、神戸ビーフとは・・・
1983年、神戸ビーフの品質を統一しブランドの強化を図るため、神戸肉流通推進協議会が発足。神戸肉の定義が定められました。 まず、神戸肉流通推進協議会指定の肥育農家が肥育し、兵庫県内に出荷した生後28ヶ月以上60ヶ月以下の牛で、歩留等級がAまたはBのものが兵庫県産但馬牛と定義されている。 その兵庫県産但馬牛のうち、ランクがA/5とA/4の一部と格付されたもののみが、神戸肉・神戸ビーフ・神戸牛と名乗ることができる。 神戸ビーフの素牛である但馬牛は、千年以上の昔から但馬地方の清澄な水と空気に育まれ、小柄ながら筋繊維が細く、霜降りが入りやすいという優れた資質を持っている。 そして海外はおろか地方の牛との交雑を避け、純血を守りながら長い年月をかけ改良を重ね、極上の肉質を実現したのだ。
戸ゆえに広まった名声
もともと六甲山系の農村では、小柄で小回りがきく但馬牛は農耕用に重宝されていた。二毛作で作られた麦や大豆などを牛に食べさせ、農家の宝として大切に育てられていた。 1868年の神戸開港により、神戸をたくさんの外国人が訪ねたが、その際に神戸で食べた牛肉は六甲山系で育った但馬牛であった。 神戸で牛を飼い、船上でと畜し食料とした船も多く、神戸を訪ねた者や船乗りたちは母国でその味の良さを伝え、神戸ビーフの名は瞬く間に世界に広がったという。 NBAのスーパースター、コービーブライアント選手の父も、神戸ビーフのあまりの美味しさに息子をコービー(KOBE)と名付けたことは有名な話だ。 神戸ビーフはもはや、世界を代表する味覚なのだ。
神戸牛づくりの名人、中西義徳さん
約2年弱の月日を経て、健やかに成長する
「とにかく病気にさせないこと。健康を管理することが大切なのです。」と牧場主の中西義徳さん。 だから一頭一頭の状態を把握することが重要となってくる。 家族三人での経営。目の届く範囲を考えると、出荷は「年間に90頭が限度」。家族にこだわるのは「愛情のかけかたが違う」から。 牛たちは中西一家の一員として大切に扱われ、たっぷりと愛情を注がれ育っていく。 この牧場にやって来る牛たちは、信頼できる兵庫県下の繁殖農家で育てられた9~10ヶ月の但馬牛の仔牛。 中西さん自ら健康状態をチェックし、見た目、足腰の強さ、皮膚など、資質の高い牛を選ぶ。血統も重要なポイントだ。

清潔な環境でのびのびと
導入後しばらくは事務所から目が行き届く場所で何頭か一緒に飼われ、成長にしたがって厩舎を移動、一頭ずつ〝個室〝で育てられる。すべては牛のことを考え、その時期時期でベストな環境をつくっていくのだ。
そして二年弱の月日を、牛たちはこの心地よい「家」で過ごすのである。
「住」ばかりでなく「食」も細心の注意が払われている。日本産では良質のものが手に入りにくいと、中西さん自ら海を渡り餌を探し求めたのはもう20年も昔のことだ。
干し草はアメリカ西海岸、カリフォルニアやオレゴンの信頼できる農家に委託し、現地で一年分を買い付け、一ヶ月ごとに送られてくる。すべて日本より厳しいアメリカの基準で検査済みの、無農薬の牧草だ。
配合飼料も信頼のおける一部上場企業に、オリジナルのブレンドを発注。牛の成長過程や状態などを見極めながら、それに応じて与えていく。
無農薬の餌にこだわるのは理由がある。「美味しい神戸ビーフを生産したい。でも、それよりまず、安全な食品を提供することが大切なのです。牛が安全なものを食べないと、安全な肉はできません」。安全な餌を食べた牛たちはまさに健康そのもの。健康な牛は上質の肉になる素養が高い。だとすると、中西牧場の方針は理に叶っている。
また、中西さんは自分が手がけた肉を必ず食し、より良い肉を生産するためにフィールドバックする努力を怠らない。
そんな中西さんの信念に賛同した兵庫県内約20軒の肥育農家は、共同で飼料の手配や肥育方法の研究をおこなっている。そんな「中西グループ」が生産した肉は高い評価を受け、今や品評会で優秀賞の常連となっている。その噂をききつけてか、フランスやスペインなど海外の農家からの視察も増えてきている。
出荷前の牛たちはビロードのような毛づやで、泰然とした風格を持っている。努力と愛情の積み重ねが〝誇り〝となる時だ。
「牛の世話は大変地味な仕事。だからこそ、夢を持って・・・」と、チャンピオン牛をめざし、中西さんは今日も額に汗する。
配合飼料も「安全」にこだわって
床は鋸くずに炭を混ぜ、臭いを抑える
牧草は数種類の品種を用意.牛の成長や状態に応じて与える
平成18年10月27日、帝神畜産株式会社は、工場の食品衛生への取り組みが評価され、厚生労働省より表彰を受けました。
良心と情熱が世界のブランドを守る
流通は、神戸ビーフの鍵を握っている。大切に育てられた牛たちも、生産現場の段階では神戸牛の称号は冠せない。 あくまでも神戸牛になる資格を持つ「候補生」に過ぎず、神戸牛になるかならないかは、すべて流通の段階で決定される。
共励会の様子。
前の大きな盾は入賞牛を落札した業者に贈られる
電工掲示板にはさまざまな情報が
帝神畜産は2005年度、神戸市中央卸売市場(西部市場)でのせりに出品された神戸ビーフ1964頭のうち、約16%の316頭を落札した神戸ビーフの最大手。しかし帝神畜産全体での牛肉の取り扱い量は約1万2千頭あまりなので、わずか3%にも満たないのだ。「本物の神戸ビーフは本当にわずかなのです」と、帝神畜産代表取締役で神戸中央畜産荷受社長の外池良光さんは語る。
兵庫県内で出生し、但馬牛の血統を持つ黒毛和種で、神戸肉流通推進協議会指定の農家により肥育された「候補生」たちは、兵庫県内の指定食肉センターでと畜され、枝肉となる。その枝肉を、社団法人日本食肉格付協会の専門員が、厳格な基準に基づいて格付けする。歩留(食用にできる部分の全体に対する割合)と肉質により等級が判定され、振り分けられる。枝肉には等級が刻印され、市場でのせりに出品されていく。
西部市場では、毎週月曜日と木曜日に兵庫県産但馬牛のせりがおこなわれる。一度のせりには約30~60頭の牛が出品されるが、そのうち「菊の印」が押された神戸肉は5~6割。2005年度に西部市場に出品された但馬牛3649頭のうち、神戸ビーフの認定を受けたのは1964頭と約54%に過ぎない。神戸ビーフは貴重なのだ。
せりのうち月一・二度、「共励会」という品評会がおこなわれる。共励会の「最優秀賞」こそが、生産農家の目指すところだ。勲章のメダルの輝きが生産者のモチベーションをあげるばかりでなく、入賞すれば神戸ビーフの中のさらなる「ブランド」として、消費者への絶好のアピール材料となる。
買参人は、せりの前に一つひとつの枝肉をチェック。厳しく眼が光る。そしていよいよ、せりがはじまる。枝肉懸垂レールに吊られた枝肉が登場するたびに、正面の電光掲示板には等級や生産者などの情報が表示され、キロあたりの価格を入札していく。せり人のかけ声にしたがって、入札者はボタンを押し価格を競う。帝神畜産もじっと表示に目をやりながら、「これぞ」と思う品質の肉を果敢に競り落としていく。
競り落とした肉は骨抜きやカットが施されブロック肉となり、帝神畜産の冷蔵倉庫で真空パックで保管される。「やはり鮮度が命。なるべく低く、しかし凍らない温度で」と、温度は0℃に保たれる。全国の得意先への輸送配送の際にも、温度は徹底して管理。そこには、レストランや精肉店まで、最高の肉を最高の状態でという信念がある。
外池良光社長も様子を見つめる
買参人が真剣な眼差しを向ける
外池さんは神戸ビーフに情熱を注ぐ。「神戸ビーフは、世界にその名を知らしめる神戸の誇り。 本物の神戸ビーフを守り次の時代へと伝えることが使命です」と、個体識別番号などが落札した牛の情報を一頭一頭開示するなど、本物の神戸ビーフをより〝信頼〝のあるものとするように努力している。名ばかりの「神戸ビーフ」を見分ける術を、残念ながら我々消費者は持たない。できることは信じることだけだ。 信じるには情報、そして信頼が必要なのは言うまでもない。本物の神戸ビーフを守るのは、そんな消費者を思いやる「良心」なのだ。 ※「牛」は、と畜前は「うし」、と畜後は「ぎゅう」とよぶ。
神戸肉の証、菊の押印
最優秀賞を獲得した神戸肉